「大好きなバイクをいつも眺めていたい」と始まった家づくり。インナーガレージをリビングとつなぎ、吹き抜けのリビングで1階と2階、さらにデッキともつなぐ間取りの中で、趣味、友人らとの時間など、さまざまな楽しみが住まいという器の中に包まれている。
吹き抜けのリビングは正面にデッキ、右手にガレージがある。屋外、ガレージ、2階と縦横さまざまな空間とつながっている
暮らしの中に遊び。ガレージとデッキのある住まい
水平なラインが強調された外観。ガレージ、リビング、デッキと
シンプルな中にさまざまな空間と時間が展開されている。
住宅の板金を仕事にしているNさんが、家を建てることになった。選んだのはカワウチケンチク。さまざまな現場を知る人が、なぜ同社を選んだのか?その理由や家づくりの経緯を、2人に話してもらった。
河内 太一(カワウチケンチク・以下河) Nさんとはもともと知り合い。屋根や壁の板金を仕事にしていて、この春、独立されました。
Nさん(施主・以下N) 以前から家は建てたかったんです。実家のあった土地を継ぐことになって、やっと実現できると。建てると決める前から、河内さんにと思っていました。
河 ありがたいです。
N まず、家に向き合っている。そういう人が建てる家なら間違いないと思っていました。
河 Nさんこそ腕のいい方で、その仕事ぶりには絶対の信頼を置いています。この家ももちろん、外壁のガルバリウムはNさん自身が施工されました。
N 色と張り方を提案していただいて。正直、手のかかる張り方で、フラットにするのでキズも目立ちやすいんですが、どこまでできるか挑戦してみようと。
河 すごくきれいな仕上がりですねよ。水平、垂直、斜めと直線を組み合わせたスタイリッシュなフォルムが際立っています。
N 外観、すごく気に入っています。横張りによって斜めのラインと水平ラインが強調されて、映える。
河 インナーガレージありきの家でした。「リビングからバイクを眺めたい」、「ガレージの一角に仕事スペースも欲しい」と聞き、それを出発点に組み立てました。基本はシンプルな形、シンプルな間取り。
N 1回目のプランでドンピシャ。ガレージは十分な広さがあって、リビングがガレージやデッキと自然につながっているのも良かった。「このままでお願いします」と伝えました。
河 1階にはガレージの眺められるLDKと水まわり空間、2階にベッドスペースをつなぐことで、開放感も得られる。
N この広がりの中で、いつでもバイクを眺められるし、ちょっと作業したいと思えば、ドア一枚でガレージに。この近さ、一体感は、実際に暮らしてみて、予想以上でした。
風の流れ、日差しの調節。自然を操作して一年中快適
N 実家に住んでいる時は西日がすごくて、夏は玄関を開けるとモワッとして家中に熱がこもっていました。同じ土地に建てるということで、どうなるかと思ったんですが、河内さんは「大丈夫」と。とはいえ、ここまで涼しいとは思いませんでした。
河 ご実家のリビングが西向きだったこと、でも、窓を開けると風が通ったと聞いていたので、まずは方向を考えて部屋を配置しました。
N 住んでみたら、南のデッキから北の道路に風が流れるだけでなく、吹き抜けを通して縦にも流れる。
河 家は基本的に、北と南に窓を設ければ、風は通るんです。さらにそれを促したくて、北面には高窓を設けたり、キッチンの背面の壁は上部を開けて、隣のバスルームとの間も風通しをよくするようにしました。
N 驚いたことに、夏、家を閉め切って出かけても、熱がこもらない。河内さんに「朝、出る時は閉め切った方がいい」と言われ、ちょっと信じられなかったんですが、断熱性能の高さなんでしょうね。
河 もちろん春や秋など、気持ちいい季節は開け放して、風を感じて欲しいです。
N そんな時は、リビングの外に付けてもらったデッキが最高。人を呼んでワイワイやりたいと伝えたところ、ここにつくってくれて。
河 プランニングする前、更地になった土地に立ってみたんです。どこから光が入って、どこから風が吹くのか。外からの視線を遮って落ち着ける場所はどこかなど。それらを検証して、間取りを考えました。
N デッキに出れば、友達とBBQをしていても、人目を気にすることなく楽しめるし、西日も影になってちょうどいい。
河 3方を隣家に囲まれてはいるんですが、間から光を取り込めると分かっていたので、裏に向かって開きました。しかもリビングは片やデッキに、片やガレージにつながっていて、動きがつながる間取りになっています。
N 風の通り道、人の動線や暮らしの動線、日の向き。ほんと、いろんなことが考えられているのに、間取りも形も無駄がなくシンプル。河内さんに頼んで間違いなかったと、いつも思っています。